テオフィル ゴーチエ『モーパン嬢』

ありきたりの恋愛小説なんてもう飽き飽き! ちょっと変わった恋の物語を読んでみたい! そんなことを考えている方にお勧めなのがコチラ。『モーパン嬢』。

絶世の美女であるモーパン。結婚を前にした彼女は男というものを知りたくなります。そこで、彼女は男装し、男として世の中に出て、異性というものを知ろうと考えたのでした。この計画はうまくいき、モーパンは多くの男と関わることに成功します。そんなある日、彼女は青年詩人ダルベールと知り合い親しくなったのですが、ここで騒動が起きます。ダルベールがモーパンに恋をしてしまうのです。モーパンが女だと知らないダルベールは男に恋をしてしまった自分を汚らわしく思い、苦しみます。また、ダルベールにはロゼットという愛人がいました。ややこしいことに、このロゼットはモーパンを男と信じて疑わず、彼女に熱烈な恋をしてしまうのです。ここにモーパンをめぐる奇妙な三角関係が形成されます。

異性愛のように見えて、同性愛。同性愛のように見えて、異性愛。倒錯した愛の形は私たち読者を酔わせます。また、男装し、社会を知ったモーパンは男性優位の社会に疑問を持ち、いろんな角度から社会を批判していきます。それらのモーパンの心の叫びは、21世紀を生きる我々にも共感できるものがあり、胸に響きます。恋愛小説としてはもちろんジェンダー小説としても『モーパン嬢』は楽しめるのです。

少し長い物語ですが、読みだすとその独特の世界観に惹きつけられて、一気に最後のページまで辿り着いてしまいます。奇妙な三角関係の結末をぜひその目で確かめてみてください!

書誌情報

Théophile Gautier『Mademoiselle de Maupin』(仏 1835年)
邦訳田辺貞之助 訳『仏蘭西古典文庫 モーパン嬢』19・22 (1949年 白水社)
石川涌訳『夢多き乙女の冒険』(1950年 岡倉書房)
田辺貞之助 訳『モーパン嬢』上・下(1952年 新潮文庫)
井村実名子 訳『モーパン嬢』上・下(2006年 岩波文庫)

※岩波文庫版は入手しやすく、かつ、訳も平易で読みやすいのでおすすめ。

(M・K)

2014/07/20