物語の醍醐味

私は子供の頃から物語を読むのが大好きです。とりわけ、『若草物語』『秘密の花園』『小公女セーラ』『赤毛のアン』など、同じ年頃の女の子を主人公にした物語には、落ち込んだ時や元気のない時、とても勇気づけられてきました。

現在、私が研究対象としているのは、谷崎潤一郎の『細雪』です。この作品は戦時中、軍部の規制によって連載が中断されてしまいましたが、その間も書き綴られ、戦後に大ベストセラーとなって人々の支持を得ました。戦争によって美しい風景は失われ、何もかもなくしてしまっても、物語を読むことで幸福であった時代を思い出すことができる、読者はそのような気持ちで作品を手に取ったのではないでしょうか。

私の母の生家はかつて商売を営んでおり、子どもの頃は『細雪』の姉妹たちのように「いとちゃん」と呼ばれていたと言います。祖母もやはり同じように「いとちゃん」と呼ばれていたそうです。私が研究対象に『細雪』を選んだのは、ヒロインである雪子を知ることで、娘時代の母や祖母に出会いたいと思ったからです。世の中は変わっていきますが、現在も私たちは物語を読むことで、その時代に生きた人々の生活を知り、同じ景色を眺め、感動を共有することができます。

古典や近代文学は一人で読んだだけでは理解が難しく、なかなか登場人物を理解するまで行き着かないのですが、学校での授業や論文を通して、その心情に気づくことができた時はとても嬉しく、これこそ文学部で勉強する醍醐味だと思っています。自分の研究によって、少しでも作品理解を深められたら、そのような気持ちで、勉強を続けています。

(M2 S・K)

2014/7/20