大学院について

武庫川女子大学大学院文学研究科日本語日本文学専攻には、修士課程(1971年設置。博士前期課程、2年間)と博士後期課程(1990年設置。3年間)があります。大学院は男女共学です。修了生は、研究職はもちろん一般企業まで多種多様な職種で活躍しています。

日本語日本文学専攻紹介

関連ファイル

日本語日本文学専攻紹介パンフレット(準備中)pdf

アドミッションポリシー

  • 修士課程
    (博士前期課程)

    学部教育の日本語日本文学に関する基礎的教養に磨きをかけて、専門性をもって社会で活躍できる職業人を育てることに努めています。幅広い専門的な知識を付与し、その専門性を社会的に活用する能力を身につけるための、実践的な教育と研究を行います。

  • 博士後期課程

    修士課程で培った専門性をさらに高め、自立した研究者となるための能力を養います。日本語日本文学のみでなく日本文化全般についての教養・知見を高め、社会において指導的な役割を担う研究者を送り出すことを目的としています。

求められる学生像

日本語日本文学専攻では、次のような方を歓迎します。

  • 日本文学・語学の面白さが分かってきたので、もうしばらく学業に専念したい方。
  • 国語科教諭や日本語教師といった仕事のために、もっと実力をつけたい方。
  • 学部で学んだことを基礎にして、今までとは違った方面の研究をしたい方。

日本語日本文学専攻では、広く教養を身につけたい方から、専門職を目指す方まで、幅広い志願者を受け付けています。

日本語日本文学専攻の特色

dice 広く社会へ眼を開く -長期履修制度と社会人特別入試-
広く社会との連携をはかるため、長期履修制度を導入。標準履修年限を超えた長期履修が可能です。実社会で活躍するかたわら自己研修を求める社会人学生を歓迎しています。研究しながらも社会とのコンタクトを求める学生、海外からの留学生を含めてさまざまな年齢の学生が、仕事と学問の両立をはかりながら、生きた学問研究を行えるように体制を整えています。時間割にもバラエティをもたせて最適な学修ペースを確保し、修了までしっかりサポートします。
dice 国際的・学際的教養人をめざす -豊かな教養と国際的視野-
大学院の教育・研究は、社会一般、教育機関、さらに個々の生活と密着したものでなければならず、そのためには国際的・学際的な知識・技能が不可欠です。21世紀の今日、グローバル化の進む中、長い歴史をもつ日本語と日本文学を通して先人たちの考えや感情に迫って日本人としての独自性を確立すると同時に、国際的な視野をもった教養人を育成します。

日本語日本文学専攻の魅力

1. 少人数制の講義
大学院の講義は少人数精鋭。学部の受け身な講義形態とは異なり、院生一人一人が主体的に意見を発表し、議論に参加することが求められます。このような講義に参加することで、物事を論理的に考え、自身の意見を発表する能力が鍛えられます。また、教員と学生の距離が近いため、質問などもしやすく、より深い知識を習得することができます。
2. きめ細かな指導
日本語日本文学専攻では、院生一人につき一人の指導教授がつきます。学位論文作成にあたっては、指導教授とともに、自身の興味の方向性を見極め、研究テーマを丁寧に決定していきます。指導教授との個別指導だけでなく、年に数度の研究発表会も用意されています。研究発表会には大学院担当の教員及び、全院生が参加して、盛んな討論を行っています。他分野の教員の意見を取り込んで学位論文を執筆していけるので、より深く普遍的な論を展開していくことが可能です。
3. 専修免許状の取得
すでに、教員免許状を持っている方なら、日本語日本文学専攻を修了することで「専修免許状」を取得することが可能です。また、学部で教職課程を履修されなかった方も、大学院在籍中に学部の教職科目を聴講することで、教員免許状を取得することができます。
4. 他専攻の講義の聴講
武庫川女子大学大学院では、院生が自分の専門分野に閉じこもるのではなく、専門外の分野にも興味を持っていくように勧めています。そのため、他専攻の講義を聴講することが可能です。英文学や教育学などの自身が興味のある講義を聴講し、より体系的な知識を習得することが可能です。
5. MFWIへの留学
日本語教育学を専攻する院生は、米ワシントン州にあるアメリカ分校(MFWI)へ約二ヵ月間、留学することが可能です。甲子園球場の12倍の自然豊かなキャンパスで、現地の文化を深く吸収しつつ、日本語教育実習に励むことができます。

カリキュラム

主な研究内容

武庫川女子大学の豊かな教養と専門知識を生かした研究を基礎として、次の3つを柱とする。

  • 日本語・日本文学のより深い専門的研究。
  • 国語科教育の実践的研究。
  • 日本語教育や国際文化についての幅広い実践的研究。

開講科目内容

1.日本語学演習Ⅰ・Ⅱ 社会言語学的な視点、あるいは、日本語史的な視点に立って、音韻、文字、表記、語彙、文法、表現、文章にかかわる問題を分析・検証します。
2.日本文学演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 日本の文学作品や文学思想、文学現象などを対象にして、実証的な方法を主として研究します。
3.国語科教育演習 国語科教育の構造に即して、これまでの理論を整理しつつ、今日の教育実践の状況を検討し、国語力向上のための方策を考察します。
4.日本語教育演習 日本語教育学および基礎的、関連的研究領域を対象とし、概念と理論について実践的に研究します。
5.日本語学研究Ⅰ・Ⅱ 古代の日本語文献や研究文献の講読を通して、古代語の語彙・語法・表記にかかわる研究、現代語における文法現象等の研究をします。
6.日本文学研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 和歌・物語・日記・小説などのさまざまなジャンルに注目しつつ、上代から近代までの各時代における重要な作品、作家について研究します。
7.日本文学史研究 作品の成立基盤について、作家や時代における文化的環境などを中心に歴史的な視点から研究します。
8.国語科教育研究 授業論や実践記録を検討し、実践面の分析を通して授業成立の要因を探り、自己学習を核とする授業構築のあり方を考察します。
9.日本語教育研究 第二言語教育としての日本語教育を、言語習得理論や教授法などを通して実践的に研究します。
10.漢文学研究 学校教育における漢文の読解力を深め、その教授法について実践的に研究します。
11.国際交流研究 言語文化や地域文化が、国際的な文化交流によって形成されてきていることを調査研究し、幅広い文化的教養を培養します。

主な開講科目

note 修士課程
  • 2年以上在学して、30単位以上(関連科目を含む)を習得し、更に修士論文を提出して、その審査および最終試験を受ける。
  • 必修科目4単位、選択必須科目6単位以上を習得すること。
note 博士後期課程
3年以上在学して、必修科目6単位を含み、10単位以上(関連科目を含む)を習得し、博士論文を提出して、その審査および最終試験を受ける。

研究成果

日本語日本文学専攻では研究紀要として「日本語日本文学論叢」と「かほよとり」を刊行しています。日頃の研究成果を発表会において発表するだけでなく、これらの研究紀要に発表することで、自分の研究成果を広く内外に発信していくことができます。

研究成果一覧

pencil 『かほよとり』
本学の院生・研究生並びに修了生に学術研究の場を提供することを旨として、1994年3月に創刊。 2023年6月現在、第19号まで発行されています。毎年、数多くの研究論文が掲載され、本学の研究者の交流の場として活用されています。 (ISSN 1340-7864)
pencil 『日本語日本文学論叢』
大学院生および学科スタッフによる学術雑誌です。2006年9月創刊。2023年6月現在、第18号まで発行されています。(ISSN 1881-476X)
pencil 『地域文化研究叢書』
地域の文化を研究し、自己の存在する立場と意義を明確にしようという考えのもと2006年3月創刊。第1巻『兵庫名所記』(植田下省子著)、第2巻『繪入開化往来』(宇喜多練編)、第3巻『平井文庫本 大坂往来』を影印刊行し、第4巻では『加藤隆久所蔵 摂州名所記』を影印、詞書全文を翻刻刊行しました。

近年の学位論文題目一覧

note 修士論文
  • 「遊於松浦河」の方法―大宰府文学圏の風流―
  • 『源氏物語』夕顔巻をめぐる解釈―源氏と夕顔の贈答歌を中心として―
  • 石原吉郎「夜の招待」論―詩人の系譜や俳句との関わりから―
  • 接続詞「なので」の成立と意味―「だから」と比較して―
  • 言語の簡略化から見た「やさしい日本語」と「手話ニュース」
note 博士論文
  • 太宰作品の先鋒―〈女性語り〉に焦点をあてて―
  • 日本語語誌の研究
  • バラエティ番組における文字テロップの記述的研究―表記効果の構造分析―
  • JSP 視点から見たCA のための日本語教育研究―台湾における航空人材育成再考―

大学院生の日常

修士一年の日々

修士一年次では、自身が修士論文でどのようなことを取り上げるのかを決めていきます。研究対象としっかりと向き合うと共に先行研究の整理を進め、知識を深めていきます。
また、大学院では自身の研究成果を発表する研究発表会があります。そういった発表会でよりよい発表をするためには、どのようなレジュメを作ればいいのか、といったことも一年次では学びます。
研究に関する初歩的なことを学ぶのが修士一年次であるといえるでしょう。

主なイベント
4月入学式・指導教授の決定
6月国文学会発表
12月第一次修士論文構想発表会
camera 入学式、指導教授の決定

大学と同じように、大学院にも入学式があります。式のあとは、研究室に入り、修士の二年間をどの先生に指導していただくかを決定していきます。ここで、大抵の院生は学部時代のゼミの先生を指導教授に選ぶのですが、大学でやってきたこととは違った方面の研究をしたいと考えている院生はその方面がご専門の先生を指導教授に選びます。学部で学んだことを基礎にして、今までとは違った研究をすることができるのも大学院の魅力であるといえます。

日文科の大学院生は左のような研究室で日々、研究に励んでいます。
ゼミ教室よりも少し広めの部屋を院生5,6人で使用するので、スペースはゆったりとしています。

camera 国文学会発表

大学院に入学して、三か月が経過した頃、国文学会で学部生に向けて自身が卒業論文でどのようなことを取り上げたのかを発表します。発表に向けて、卒業論文を見直すことで、自身の研究の原点とはなんなのかをしっかりと掴むことができ、修士論文を執筆するエネルギーに変えていくことができます。
さらに、この発表会を通して、レジュメの作り方や発表原稿の書き方なども学びます。研究の初歩を学ぶことのできる発表会であるといえるでしょう。

国文学会での卒業論文発表会の様子
毎年、大勢の学部生が聴きにきてくださいます。大勢の聴衆へ向けての発表は少し緊張しますが、こういった発表会に参加していると、自身が院生になったのだという実感を持つことができ、嬉しくもあります。

camera 修士二年生論文発表会参加

夏休みを目前に控えた7月。この頃になると、そろそろ修士論文のテーマを具体的に絞って考えていかなくてはなりません。ちょうどこの時期に修士二年の方々が自身の研究がどれぐらい進んでいるのかを発表します。その発表を聴講することで、自身の選んだテーマが修士論文のテーマとしてふさわしいものかどうかを考えることができます。
また、大学院を修了された先輩方の修士論文が図書館に収蔵されています。それらの完成した修士論文を読むことで、修士論文の文体や論理の展開方法を学んでいきます。

完成した修士論文は写真のように製本され図書館に保存されます。
原稿用紙換算で100枚近くの分量があるので、とても分厚いです。
「こんなに書かないといけないのー!?」と新入生は毎年ちょっとしたショックを受けます。しかし、書けるものなのです。書かないといけないのです。

camera 第一次修士論文構想発表会

夏休みを利用し、自身が修士論文においてどのようなことを研究していくのかを具体的に形にしていきます。そして、ある程度研究の方向付けができてきた12月。先生方や他の院生を前にして、自身の現段階での研究成果を発表します。この段階では、まだまだ研究成果が未熟で、論もきちんと展開できていません。ですから、先生や先輩からいろんな意見をいただくことになります。その後は、そういった意見を参考にし、自身の研究をより良いものとするために研磨していきます。

武庫女の大学院は少人数精鋭なので、院生間の距離がとても近しいです。発表会だけでなく、日頃から、修士論文に関する意見を交換しあい、ともに勉強に励みます。
院生になると遠方の学会にも参加するようになるのですが、そんなときには、左写真のように学業成就のお守りをみんなへのお土産として買ってきます。「みんなで一緒に大学院を修了しよう!」が私たちの合言葉です!

修士二年の日々

修士一年の内に修了に必要な単位はほとんど取ってしまっているので、二年生になると講義に参加することはあまりありません。その代わり、修士論文の執筆や就職活動などに時間を使います。論文完成に向けて、何度も指導の先生のもとへ足を運び、研究の方向がぶれていないか、チェックしていただきます。
また、入学してきた一年生がより良い院生生活を送るための助言などもします。

主なイベント
7月修士論文中間発表
1月修士論文締め切り
2月修士論文発表会・口頭試問
3月修了式
camera 修士論文中間発表会

修士二年の七月、修士論文の中間発表会があります。修士論文の途中経過を先生方の前で発表する最後の機会です。たくさんの意見をいただくためにも、ある程度論を進めておきたいので、発表会直前は夜遅くまで研究室に残り、自身の論を煮詰めていきます。質疑応答では、厳しい意見をいただくこともありますが、そういった意見こそが自身の論文をよりよいものにしていってくれるのだとありがたく受け止め、修士論文完成に向けて、邁進していきます。

論文発表会のあとは写真のように先生方がいろいろと助言をしてくださいます。指導の先生とはまた違った角度から助言をしてくださるので、新たな発見を得ることができます。多くの先生に支えられ論文を書き上げていくのです。

camera 修士論文提出

毎年一月中旬が修士論文の締め切りです。締め切りが近づいてくると大学に残れるギリギリの時間まで研究室に残るようにし、論文執筆に励みます。書けた分から指導の先生に添削していただき、直すべきところを指摘していただきます。修士論文を提出したのちは、完成した修士論文の発表会があるのでその準備を開始します。

武庫女の院生室は設備が整っています。デスクに、本棚、パソコンに加え、写真のようなソファーもあります。
論文締め切り前で疲れた時は、このソファーで仮眠を取ることもできます。いろんな備品が揃っている武庫女の院での研究はなかなか快適です。

camera 修士論文発表会・口頭試問

自身の修士論文がどのようなもので、どんな付加価値があるのかを先生方や他の大学院生の前で発表します。この発表会は春の特別学期中に開催されるので、院に進学することを決めている学部生などが聴講しにやってきます。
発表会の後は、院生一人に対して三人の先生による口頭試問があります。この口頭試問をパスし、修士を修了できるだけの論文を書いたと認めて貰えれば、大学院を修了することが出来ます。

大学院研究発表会の様子
最初の頃は、なかなか前を向いて発表できませんでしたが、慣れてくると写真のように堂々と前を向いて発表できるようになります。
ちなみに、写真を見て女子大なのに男? と疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんね。あまり知られていませんが、武庫女の院は男女共学なので、男子学生も入学してきているのですよ。

camera 修了式

修士論文の論文審査を無事パスすることができれば、修了式が待っています。式にはドレスや和服といった華やかな格好で参列します。服装がかぶらないように事前にどういう格好で修了式に参加するかを決めておきます。